世界で活躍する日本の芸術家たち。

新ジャポニズム:奈良美智

皆さんは「新ジャポニズム」という言葉をご存知ですか?新ジャポニズムとは、近年見られるアニメやアイドルなどのオタク文化を取り入れた芸術のことを言います。「ジャポニズム」は元々日本趣味・日本心酔の芸術のことを表していたのですが、最近では日本という広い枠から「オタク文化」に集中した新ジャポニズムが注目されているのです。これから紹介する4人の芸術家は、新ジャポニズムの代表的な作家として知られています。奈良美智もその一人です。

奈良美智について

奈良美智(ならよしとも)は、青森県弘前市出身の画家・彫刻家です。世界的に評価されているポップアート作家で、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やロサンゼルス現代美術館に作品が所蔵されるなど、日本の現代美術の第二世代を代表するひとりです。にらみつけるような目の女の子をモチーフにしたドローイングやアクリル絵の具による絵画で知られています。

プロフィール

1959年12月5日、青森県弘前市に生まれました。青森県立弘前高等学校を卒業するまで弘前市で育ちます。高校卒業後は、武蔵野美術大学に入学しますが1年で中退。その後愛知県立芸術大学の美術学部に入学し、1984年には名古屋市で初の個展を開きました。また、同年には故郷・弘前市にて「奈良美智、三浦孝治二人展」を開催しています。1985年に同大学を卒業、1987年に同大大学院を修了しました。その後、河合塾千種校美術研究所教員を経て渡独し、1988年にドイツ国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに入学、A.R.ペンクに師事し1993年マイスターシュウラーを取得しました。その後ケルン近郊のアトリエを拠点に作品を制作し、日本ではギャラリーユマニテに勤務していた土崎正彦氏に見いだされて独立します。その独立に伴い白土舎から移籍し発表を続け、その後小山登美夫ギャラリーにて東京でも作品をは発表するようになります。これをきっかけに徐々に注目を集めるようになり、日本や欧米を中心に国際的に注目されるようになりました。1995年には名古屋市芸術奨励賞を受賞。1998年にはカリフォルニア大学ロサンゼルス校客員教授を村上隆と3ヶ月間務めました。2000年8月にドイツから帰国し、以降は東京に居住、2005年からは栃木県に在住しています。2006年には武蔵野美術大学の客員教授を務めました。2013年には芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しました。2013年以降は日本に専属ギャラリーを持たず、Blum & Poe Gallery、PACE GALLERY、Johnen Galerie、Stephen Friedman Galleryなど、欧米のギャラリーで作品を発表しつづけています。

落書き問題

2009年2月27日午前3時すぎ、奈良はニューヨーク市内のファースト・アベニュー駅構内で落書きをしたとして逮捕されました。市内の施設に24時間拘置された後、釈放されました。拘置所にいる間の様子について自身は「(拘置されなければ)会えないような人たちに囲まれ、映画の中にいるような体験だった」と述べています。

人物像

奈良美智はロック、特にパンクが好きで、作品制作も音楽を流しながら行うことで知られています。少年ナイフ、bloodthirsty butchers、THE STAR CLUB、マシュー・スウィート、R.E.MのCDジャケットを手掛けており、ニルヴァーナのカート・コバーンを模したと思われるキャラクターやthee michelle gun elephantのCDジャケットをパロディー化した作品も描いたりしています。また、小屋の内側をレコードジャケットで埋め尽くした作品もあります。ミュージシャンとの交流も多くニューヨークでの展覧会オープニングにYO LA TENGOやデボラ・ハリーなどが訪れたこともありました。常に一人で作品制作を行ってきた奈良ですが、「Yoshitomo Nara + graf A to Z」ではクリエイター集団「graf」と共同作業で展示会場作りからの創作活動の旅を行いました。台湾、韓国、横浜へと移動したその展覧会の様子は、坂部康二監督によるドキュメンタリー映画「NARA:奈良美智との旅の記録」として2007年に劇場公開され、後にDVDとして発売されました。好きな食べ物はカレーライスで、2001年に漫画「おごってジャンケン隊」にゲスト出演した際、当時のアトリエの近所にあるCoCo壱番屋をお勧めのお店として挙げています。また、最近では松屋にも良く通っているとTwitterで述べています。

奈良美智の魅力

目つきの鋭い、ちょっと不機嫌そうな女の子と言えば、思い出すのは奈良美智の絵ではないでしょうか。特徴的な淡いタッチで、こちらを睨むしもぶくれの女の子を描いています。目つきは悪いししもぶくれだしで、どちらかというと女の子は不細工なのですが、なぜかちょっとかわいい気がするのがすごい所です。「睨む女の子」のモチーフ以外のところでは「あおもり犬」も有名ですね。ユーモラスでありながらどこか哀しげな犬の立体作品が「あおもり犬」です。弘前市出身の奈良美智が、青森県立美術館のために制作した作品で、建築と一体化した高さ8.5mの立体作品です。JR東日本のCMに登場し、話題となりました。巨大な白い犬が、日の光を背中に浴びてちょっとうなだれている姿は、なんとも言えないかわいらしさがあります。あおもり犬は屋外の展示なので、冬には頭に雪が積もって帽子をかぶっているように見えるそうです。季節ごとに違った表情を見せるというのも魅力の一つだと思います。奈良美智のポップな世界は、芸術に疎い一般人でも季節の移り変わりやその表情の変化で、気軽に楽しめるのが魅力だと思います。