世界で活躍する日本の芸術家たち。

会田誠

会田誠は新潟県出身の現代美術家です。スクール水着を着た女の子が滝で戯れる絵や、裸の女の子たちがミキサーにかけられる絵、「犬」シリーズなどで知られています。その過激な作風はしばしば糾弾の槍玉にあげられます。正直なところ、私もこの人の作品にはどうしても拒絶反応を起こしてしまいます。発想が気持ち悪いと感じるのですが、歴史に名を残す人たちというのはこういう人たちなのかもしれないなとも感じています。

プロフィール

1965年10月4日生まれ。新潟県新潟市出身。父親は社会学者で新潟大学教授の会田彰です。小さい頃は授業中に走り回るなど落ち着きがなく「いまでいう典型的なADHD(多動性障害)」だったのだそうです。本人いわく、「基本的に飽きっぽくて同じ絵を繰り返し描くことができない」と語っています。新潟県立新潟南高等学校卒業後、代々木ゼミナール造型学校を経て、1989年に東京芸術大学油画専攻を卒業、1991年には東京芸術大学大学院を修了しました。在学中に小沢剛、加藤豪らと同人誌「白黒」を発行しました。レントゲン藝術研究所で開催された「フォーチューンズ」で本格的な活動を開始しました。2003年には、会田自身の制作を追ったドキュメンタリー映画「≒会田誠」が公開されました。2005年には、写真「Girl's Dont't Cry」の一つが香港クリスティーズにおいて9253ドル(約110万円)で落札されました。私生活では同じく現代美術家の岡田裕子と2001年に谷中墓地で式を挙げ結婚しました。会田は、岡田裕子の半生を描いたドキュメンタリー風ドラマ「ふたつの女」にも出演しています。2012年11月10日には渡辺正悟監督によるドキュメンタリー映画「駄作の中にだけ俺がいる」が公開されました。2013年には第8回安吾賞を受賞しています。

作品の特徴

世間では「取扱注意の作家」と呼ばれています。美少女、エログロ、ロリコン、戦争、暴力、酒の賛美など、社会通念や道徳心に対するアンチテーゼを含む、センセーショナルな作品で知られています。ただし、近年はセンセーショナルな作風はあまり好まなくなってきたと語ってもいます。1993年に発表した「巨大フジ隊員VSキングギドラ」で注目され、「あぜ道」「切腹女子高生」「美しい旗」などが代表作です。ミヅマアートギャラリーでの個展を中心に国内外で活動しており、「横浜トリエンナーレ2001」「六本木クロッシング2004」などに作品を出品しています。アーティストグループ「昭和40年会」に参加したり、若手の芸術家や学生をまとめ、自宅で「西荻ビエンナーレ」を開催するなど、幅拾い活動をしています。平面作品に限らず、映像作品の監督・出演、またフィギュアなどの制作も行っています。

「会田誠展:天才でごめんなさい」のトラブル

2012年12月に会田は、森美術館にて個展「会田誠展:天才でごめんなさい」を開催しました。その際、性暴力に反対する市民団体が、児童ポルノで性的虐待を肯定する表現として、公共空間である美術館で展示することを問題視しました。「食用人造少女・美味ちゃん」、「犬」シリーズ、等身大のゴキブリの像と女性が性行為をしている様子の写真は性的虐待を肯定しており、女性の尊厳を傷つけていることなどを取り上げました。また、美術評論家の松岡久美子氏は「欧米の美術館では決して許されない、女性は弱い立場にあってこそエロとして感じる男性の見方が背景にあるのではないか」と疑問を呈しました。それに対し美術館側は、「われわれが作者の業績をたたえるためにも網羅するために展示する必要があった」と説明しています。それに対し、米国の法務研究会であるダグラス・マクレーンは、「欧米ではこのような女性やこどもへの暴力を賛美するような絵が美術館で公開されることはほぼなく、国によって法律は異なるが、仮に違法でなくとも展示が避けられるのは、このような絵の展示は性暴力を正当化するという市民の共通の認識があるからだ」と森美術館の展示を厳しく批判しました。

主な作品

絵画

  • 1987年「河口湖曼荼羅」
  • 1989年「犬」
  • 1991年「あぜ道」
  • 1993年「巨大フジ隊員VSキングギドラ」
  • 1995年「美しい旗」
  • 2001年「ジューサーミキサー」
  • 2001年「食用人造少女・美味ちゃん」
  • 2002年「切腹女子高生」
  • 2003年「大山椒魚」
  • 2007年「滝の絵」
  • 2009年「灰色の山」
  • 2012年「電信柱、カラス、その他」

フィギュア

  • 2005年「愛ちゃん盆栽」

立体作品

  • 2001年「自殺未遂マシーン」
  • 2002年「新宿城」

会田誠の魅力

前述したように私は会田誠の絵を全く好きになれません。ただ、その発想力や描写力、絵にかけるエネルギーは凄いと思います。「ジューサーミキサー」や「灰色の山」などの群像絵は、絵自体は気持ち悪いですが、その細やかさには驚きを隠せません。何百人、何千人と書かれた裸の少女が、一人一人違った表情をしているのを見ると、会田誠の執念を感じます。痛覚が無く、食べられるのが好きな「美味ちゃん」や、「犬」シリーズはやっぱり趣味が悪いなと思いますが、描かれている女の子には美しさを感じます。真っ直ぐに伸びた田んぼのあぜ道と、ツインテールの女の子の髪の分け目が1本に繋がった「あぜ道」は、最初に見たときは写真かと思うほどきれいでした。常人には到底思いつかない世界が、会田誠の作品の中には描かれています。好きか嫌いかと問われると「嫌い」と言わざるを得ないのですが、気持ち悪いと分かっていても見てしまうというのは、一種の魅力なのかもしれません。